ずっと読み直したかった本を読む


いつか時間ができたら、余裕ができたら、読み直したいと思っていた本がある。

大学時代に受けた授業で紹介された加藤尚武さんの「環境倫理学のすすめ」だ。

 

環境問題等を考える際に、環境倫理学という観点があるということ、そして、環境倫理学では①自然の生存権②世代間倫理③地球全体主義という三つの基本主張を主としていること。

 

この本の大まかな内容を授業で聞いて、興味をひかれ、本を早速購入したものの、哲学や倫理学の知識があまりになかったため、学生時代には内容をあまり理解することができなかった。

だから、いつか時間ができたら、余裕ができたら、哲学や倫理学の知識を学びなおして、この本を読み直して、理解できるようになりたいと漠然と思っていたのだ。

幸か不幸か、時間ができたので、ようやく学びなおしをしながら、この本を読むことができた。

 

幼いころから自然や生き物が好きな立場からすると、この三つの主張は直感的に理解できる気がするが、おそらくそうではない人も多いと思う。特に、自然の生存権については、異なる感覚を持っている人はとても多いように感じる。

人間において考えていた権利を自然物にも拡張するということの背景には、功利主義の考え方がある。功利主義で重要となる快楽と苦痛を感じる能力がある生き物も権利で守られるようにしようとする論理の展開はとても興味深い。

さらに土地倫理や自然主義の歴史、生態学と経済学の関わりについて等、自然と人間社会や経済などがどのような関係として捉えられてきたのかを大まかに知ることができた。

 

しかし、西洋の哲学史の流れをざっと見直してはみたものの、近代や西洋以外の思想についてはほとんどよく分かっていないので、さらに学び、深く理解できるようになりたいものだ。

オポルトの「野生のうたが聞こえる」、ピーター・シンガーの「動物の解放」など、この分野の基本となるであろう本から読んでいきたい。