『 ヒルは木から落ちてこない。 ぼくらのヤマビル研究記 』

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ヒルは木から落ちてこない。」というタイトルを見て、「そうなの?」と思わずこの本を手に取った。

この本には、学校の先生をされていた樋口先生が主催される「子どもヤマビル研究会」の子どもたちが、謎に包まれているヒルの生態を調べる様子がつづられている。

木から落ちてくるのか、シカが広げているのかなどなど、ヒルについての通説を確かめたり、まだ明らかになっていないヒルの卵の様子を観察したり。

ヒルは人間と関わりがある生き物だけれど、まだまだ謎に包まれている部分が多いということを知って、面白いなぁと思う。

 

幸か不幸か、私はこれまでの人生で、あまりヒルと関わる機会がなかった。

山登りに行くと、ヒル注意という言葉を聞くが、そこまで山登り歴が深くなかったり、行動山域にヒルが少ないということもあり、まだあまり出会ったことはない。

一番身近だったのは、以前、兵庫県の中央部の谷あいの集落にいた頃。

山の中や畑などを歩いていると、気がつくと体にヒルがくっついていることがあった。

シカが多い地域だったので「シカがヒルを連れて来る」とか、「ヒルは木の上にひそんでいて、人間の呼吸で出る二酸化炭素を察知して木の上から落ちて来る」と教えてもらった。

が、その現場を見たことはなく、子どもたちが調べる様子を読んで、なるほどと納得。

 

体にくっついてきたヒルはもちろん血を吸っているわけだが、ヒルに血を吸われたからといって、蚊のようにかゆくなったり、アブやハチに刺された時のように痛くなったり、最悪命の危険を感じるということはない。

ヒルは血を吸う時に、血が固まらないようにする物質(ヒルジン)を出すので、そのせいで、血がしばらく止まらずに洋服が血に染まることぐらいがいやだと思う程度だった。

しかし、血を吸った後に必ず卵を産むというわけではなさそうだったり、そもそも普段はどこにいるのかなど、ヒルが一体どのような生き物なのか、まだよくわからない生き物なんだということがよく分かった。

 

この本を読んで、ヒルをいう生き物に対する興味と同じくらい、強く思ったことは、子どもの頃に、このような体験をできることは、貴重な体験だろうなということ。

私は、学校という教育現場とは異なる環境で、自分の持つ興味を追求する体験に興味を持っている。

自分が生きている中でも、子どもの頃に、好きなことを思いっきり追求できるということは、とても大切な気がしているからだ。

そして、自分たちで考えて、調べて、結果を発表するという一連の流れを体験したり、仲間や先生といっしょに過ごしたりしたことは、大切な資産になっていくはず。

 

ヤマビル研究会のことは、この本で知ったので、現在進行形での活動もチェックしながら、今後の活躍を楽しみにしています。

 


ヒルは木から落ちてこない。 ぼくらのヤマビル研究記』 

樋口大良+子どもヤマビル研究会 山と渓谷社 2021年